フリートーク

おばあちゃんの滑り台

August 21, 2015

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先日部屋の模様替えをしたついでに(ベッドを買ったら思っていた所に入らなかったため)、諸々部屋の片付けもしました。すると、学生時代に家具の研究をしていたときの調査段階で作った名作家具のスクラップブックのようなものがでてきました。
懐かしくしばらく見ていながら何十年も語り継がれるデザインってすごいことだなぁとぼんやり考えていました。

私が、これまで触れてきたデザインでとても感銘を受けて忘れられないものがあります。それがタイトルにもある「おばあちゃんの小物落下防止滑り台」です。
これは祖母の家にある洗面台と壁の隙間に、いつも小物が落ちてそのたびにものさしやハンガーを持ってかき出さないならなかったところを、余っていたプラスチックの板をはめただけで解決した、という祖母のデザインです。

例えば、排水溝に小銭落としたときのような「しまった、落とした!」みたいな絶望感が、この滑り台によってスーッと、足元に戻ってくるハッピーさは素晴らしかったのを覚えています。
板をはめただけなのに、小物が戻ってくるオートマチックな機能は本当に良い物だと思いました。
隙間にフタをして物が落ちないようにするということもできたでしょう。
でも、「そこらへんにあった板」と祖母の気配りがこの滑り台式を作り、落ちた物が戻ってくる嬉しさをもたらしました。
欲しかったものを買っても、こういう満足感を得られるものはなかなかありません。ありもので作った脱力感や祖母のおせっかいな感じや「作ってあげた」みたいに誰にも主張しない感じなどなど、全てがベストマッチして体験を作っています。

自分や誰かが困っているいるけどなんとなく済んでしまっていることはたくさんある気がします。また、なかなかそこに気づけないことも多いのではないでしょうか。気づけても難しく考えてしまったり、そのうち忘れていたり私はしているように思います。

タイトルの画像は祖母が書いた書道を冬場のエアコンの下に貼ってみた写真です。
この書にあるように「肌寒更重着」、たぶん何事も考えなさい、という意味です。
大切な事はいつも目の前にたくさんあって、難しいと思うことは意外と簡単なんだろうなぁと、ぼんやり思う休日の模様替えでした。

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WAKIYA.R

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