デザイン

右と左、過去と未来。

July 4, 2014

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昨年の秋、東京国立博物館で特別展「京都-洛中洛外図と障壁画の美」が開催されていました。
その関連イベント、アニメーション映画監督・細田守氏と、東京国立博物館 特別展室長・松嶋雅人氏(「京都-洛中洛外図と障壁画の美」のキュレーター)によるスペシャルトークイベントを観にいく機会がありました。

大学で同期だったという、お二方の独自の視点からの洛中洛外図舟木本の考察だったのですが、そのお話の中で出てきた、“画面の力学”という言葉に興味を持ちました。
画面の中でどの方向に時間が流れているか、ということで、“日本では向かって右側が過去、左側が未来とされることが多く、海外は逆の方が多い”そうです。

確かに、洛中洛外図も、右に過去の豊臣(方広寺)、左に未来の徳川(二条城)が配され、他の作品を思い浮かべても、屏風は右から左へ春夏秋冬と季節が流れ、絵巻物も右から左へ話が進行しています。

トークの本来のテーマではなかったため、それはなぜなのか?ということにはふれずにお話は進んでいったので、気になったまま、自分で考察するしかなかったのですが。

そして、同じく興味を持ってくれた友人とも考察した結果、文字を書くとき、もともと日本語は縦書きで右から左へ流れる、反対に、英語は横書きで左から右へ流れる、書いたものを置いていく方向、(日本語なら右、英語なら左)によって時間の流れを画面の中に生み出しているのではないか?という結論になりました。

なるほど!と満足な答えは導き出したのですが、さらに気になることが…。

もともと、と書いたように、縦書きのみだったのは昔のことで、日本語は、縦書きも横書きもできます。
さらに、手書きも、パソコンでの文字入力も横書き、が主流の現代、かつては筆で縦書きだった、冠婚葬祭での受付も横書き式のカードや芳名帳の方が多いくらい、みんな横書きの方が書きやすい。
ということは…。

すぐにではなくても、遠い将来には、これからは日本も“左側が過去、右側が未来”という感じ方に変わっていくのではないか?

と、おもしろく思っていたところ、件の友人から

日常的に“読む”“見る”行為の方が多いはずだから、“縦読みする本がなくならない限り残るはずだ”と反論されました。

確かに、読むという行為においては、どちらが絶対的に読みやすいという判断は難しい。
縦書きの小説がなくなることは、あまり考えにくい。

そういえば、漫画も右開きで、吹き出しのセリフは特別な意図がなければ縦書き、コマの進み方も、コマの中でも右から左に時間が動いています。

そう考えると…確かにちょっとやそっとでは、この感覚は揺らがないかもしれません。

海外で日本の漫画を翻訳出版する場合、反転して左開きに直されることが多かったそうですが、日本のMANGA文化の普及によってオリジナル性を重視するために最近は右開きのままが主流だそうです。
もしかしたら、世界中で、うまく混在して新しい“画面の力学”効果を使った芸術作品が生まれるかも?などとわくわくします。

画面の中で時間はどのように流れているのか?
人や物の位置関係にどのような意味が持たされているのか?
作者の出身や文化の背景による影響は?
などと考えを巡らしながら、絵画、映画、などの芸術にふれるのもおもしろい楽しみ方ではないでしょうか?

また、私たち、作り手側としても、“画面の力学”のような法則を漠然とした感覚や経験からではなく、知識として得ておくことで、仕事にも効果的に活かしていけるのではないかと思います。

チラシより洛中洛外図舟木本-部分
チラシより洛中洛外図舟木本-部分:京の人々の生活がいきいきと描かれています。

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ARIAKE.C

アートディレクター

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