カタログを語る上で、歴史上欠かすことのできない2つのカタログがあります。
それは「消費者の聖書」とも呼ばれた『big book』とスティーブ・ジョブズにも大きく影響を与えたといわれる『Whole Earth Catalog』です。
『big book(シアーズ・カタログ)』とはアメリカに本部を置く百貨店のシアーズが通信販売事業の拡充を計るために1896年に展開したカタログであり、500ページをこえるそのカタログの中には、時計や宝石のみならず、衣類や家庭用工具、車や家といった生活に必要なありとあらゆる商品が掲載されていました。
世界で最も有名な通信販売用の総合カタログです。
一方、『ホール・アース・カタログ』は、アメリカの編集者スチュアート・ブランドによって1968年に発刊された雑誌であり、当時のヒッピー文化を支えるための情報、商品が載っていました。
特筆すべき点は、一定のフィルターによって選択された商品を掲載するカタログの体裁を取りながら、紙面のデザイン性や編集力の高さによって、思想や概念を醸成するための伝説的書籍になったということです。
この2つのカタログは多くの面において非常に対照的であると感じています。
今回は2つを比較することで、未来のカタログのあり方を考えてみました。
現在、紙媒体として発刊されているカタログや雑誌に関しては、その多くがどちらのパターンかで分類可能です。
つまり、これまでのカタログと呼ばれるツールはどちらかの特長を強く持つ形で、企画・構成・デザインを施され、冊子として配られてきました。
未来におけるカタログのあり方を考えていく中で重要なことは、カタログという言葉からイメージされるモノ自体(印刷され、冊子化された限定的なツール)を変えることであると考えます。
具体的な話としては、WEB技術を用いればこの2カタログの特長、どちらをも兼ね備えたモノが実現できるということです。
既に、いくつかのキュレーションサイトは編集性を武器に、多くの商品を直接消費につなげる試みを行っています。
Amazonは網羅性を保ちながら、多様化する価値観(ニーズ)に対応し、新たな大量消費文化を創っています。
今後もこれからのカタログのあり方を、様々な角度から考察していきたいと思います。
参考:
Big book http://www.searsarchives.com/
Whole Earth Catalog http://www.wholeearth.com/index.php
MURATA.N
アカウントエグゼクティブ
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