カタログ制作ではカタログごとに個々のルールがあり、校正者に渡される校正指示書の内容も多種多様です。
しかし、全ての作業において共通して言えることが1つだけあります。
それは「カタログを手にするお客様の視点に立つ」ということです。
なぜお客様の視点なのか。
カタログは正しい情報を掲載し、手に取ったお客様が疑問や不安を感じることなく商品を探し、選び、納得して購入できるものでなくてはいけません。
原稿どおり誌面に反映されていることはとても重要ですが、その原稿にお客様の視点に立たなけば見落としてしまうようなことが潜んでいることがあるのです。
「校正」とは、原稿の指示が正しく誌面に反映されているか、またその原稿に誤りがないかを確認することです。
「原稿どおり」を忠実に守ったうえで、原稿に誤りがあれば、誤字脱字、誤変換をはじめ、文章に筋がとおっているか、整合性はとれているかなどを素読みの中でチェックしていきます。
この素読み作業の中で「お客様の視点」が重要になるのです。
ここに小学校向け教材のカタログの原稿があります。
机の物入れを整理整頓! 3色から選べるシンプルなお道具箱。
・お道具箱 青 ¥650(税抜)
・お道具箱 ピンク ¥650(税抜)
・お道具箱 黄色 ¥650(税抜)
●材質/ポリプロピレン
●寸法/W23×D32×H16cm
●学校机対応サイズ
●名前シール付
この原稿には1つ矛盾が含まれています。
では矛盾とは何でしょうか。
一般的な小学校用の机の物入れの高さは10cm程度なので、高さ16cmのお道具箱は入りません。
スペックの「学校机対応サイズ」か、寸法の「H16cm」のどちらが間違っていることになります。
またお道具箱が物入れに入らなければ、キャッチコピーも適当ではなくなってしまいます。
矛盾に気づけること。
それが「お客様の視点」であり、私たちが大切にしていることです。
時には、教材を選ぶ先生の視点で
時には、家具を選定する担当者の視点で
時には、通販カタログで商品を選び発注する立場になって
あの商品はどのあたりに掲載されているだろう…
なぜ注文番号の色が2種類あるんだろう…
このマークは何を意味しているんだろう…
サイズで選べるように、わかりやすいサイズ表記になっているだろうか
機能で選べるように、他の商品と比較できるようになっているだろうか
価格で選べるように、価格帯ごとに整理されているだろうか
そのカタログがお客様にとって使いやすく、そばに置いておきたい一冊になるために、私たちは「お客様の視点」に立ち、今日も原稿と向かい合っています。
IZU.T
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