――スケジュール表、ルールブック、台割ができ、さて、原稿を揃えてデザインをしてもらうだけ、と安堵するログ子だが、
そもそも原稿ってどうやってつくるのか。
はたと手を止めるログ子であった…。
ログ子:博士、原稿ってどうしたらいいんでしょう!! これ全部、私が書くの!?
博士:そうですね~、答えはYesでありNoでもあり……。
ログ子:どっちなんですか!?
博士: 1人で全部仕上げるわけではない、ということではNoですね。
ログ子:よかった、だれかに手伝ってもらえるんですね。
博士:でも、ログ子さんが中心になって原稿を作らなければならないという点ではYesですね。
ログ子:え~、やっぱり私!? できるんでしょうか!!!(アセアセ)
博士:大丈夫ですよ、落ち着いて!! ログ子さんがゼロから原稿を書くわけではありません。まず、ログ子さんがしなければならないのは、各部署から素材を集めること。
素材とは、商品の特徴や、スペック、アピールポイントなどを、その商品担当者から引き出すことです。いちいち一人ひとりに聞いてまわるのは大変だから、共通の商品シートを用意して、それに必要事項を埋めてもらう方法がいいと思いますよ。
ログ子さんは、そうして集まった商品シートをもとに、原稿を仕上げればいいのです。
ログ子:ちょっと安心しました……。でも、いきなり商品シートを配っても答えてくれるんでしょうか。
博士:もちろん無理でしょうねぇ。
ログ子:ガーン!
博士:効率的に情報を集めるためには、まず、カタログ制作の主旨を説明して、各部署の製品担当者に協力を依頼すること。
配付する商品シートも重要です。相手が答えやすいように、簡潔に聞きたいポイントを整理したシートを作ることですね。
博士:統一した商品シートに情報を記入してもらうことで、抜けやもれが防げますし、あとで整理するのもラクですよ。
シートが集まってきたら、ここからはログ子さんの仕事。
おそらく各部署から、文体も書き方も分量もばらばらな素材が集まってくるでしょうから、ログ子さんが文体や用語をそろえて、規定の文字数におさまるようにリライトしなければなりません。
ログ子:これは大変な仕事になりそう。
博士:まあ、そこは……耐えてください!!
そこまでできたら、あとは制作会社の出番です。
ログ子さんが作ったテキストデータを、コピーライターがさらに伝わりやすい原稿にリライトしたり、キャッチコピーをつけたりという作業をしてくれます。
ログ子:なるほど、それは心強いです!
博士:ここまできたら、あとはデザイナーの出番。ログ子さんは、ちょっと一息ついてレイアウトの仕上がりを待てばいいわけです。
ログ子:ようやく先が見えてきました。さて、お茶でも飲んで一服しますか~。
博士:おっと、一つ言い忘れていました!
ログ子:え?まだ何か!?
博士:原稿作成のときに気をつけてほしいのは用語の統一です。
たとえば、同じカタログの中に、「ようす」と「様子」、「できる」と「出来る」のように、同じ言葉の表示形式がまちまちだったりすると、読み手は混乱しますし、きちんと編集されていない印象を与えてしまいます。
ログ子:そういえば、コンピュータのことを、「コンピューター」と言ったり「PC」と言うこともありますよね。「サーバー」と「サーバ」もうっかり混在しそう。
博士:顧客のことを言うときに「お客様」、「お客さま」のどちらにするか、会社ごとに決まりがある場合もあります。社内ですでに統一ルールがあるなら確認しておくといいでしょう。
ログ子:でも、いちいち覚えていられないかも!
博士:よく使う用語は“用語統一表”にまとめておくといいでしょう。制作会社にも渡して共有しておくと、校正のときなどなにかと便利ですよ。
ログ子:はい!博士! 作っておきます! でも、お茶飲んでからでいいですか……?
(次回に続く)