――校正、下版、印刷、製本を経て、無事納品されたカタログ。インクのにおいも新しいカタログを眺めながら、感慨にふけるログ子であった
ログ子:やっとできた~! 博士、なんだか感動しすぎて、抜け殻状態です!!
博士:いやー、お疲れ様。でもログ子さん、これで終わりではないんですよ。
ログ子:え、まだ何かあるの!? あとは営業さんが、お客様のところにカタログを送ったり、お届けしたり、ですよね? 私がすることって……。
博士:あるんです! カタログの「お披露目会」をするのです!
ログ子:えー、なんで!?
博士:ログ子さん、カタログを作ってみてどうでしたか?
ログ子:どうって、大変でした!!!
博士:そうでしょう? せっかく大変な思いをして作ったのだから、どんなところに力を入れたのか、去年のとどこが違うのか、お客様にはどんな点をアピールしてほしいのか、きちんと説明したくないですか?
ログ子:確かにそうですね!
博士:もしかしたら、他の人たちは、カタログなんて毎年、時期がきたら勝手に新しいものができてくると思っているかもしれない。前つけで何を特集しているのか、新商品のウリはどこなのか、よく中身を見ないままお客様に配っているかもしれません。
カタログはただの挨拶回りの小道具ではなく、大切な宣伝ツールであり、マーケティングツールなのです。
ただ配るだけでなく、ちゃんと商品のアピールをする。そして、お客様からのフィードバックをもらう。そのための媒介として活用してもらわないと。
ログ子:そこまで考えていませんでした!!
博士:今はもう、ただカタログを配って注文を待つだけでもビジネスが成り立っていた時代ではありませんからね。制作費だって、相当かかっているのです。ちゃんと費用対効果を上げようという発想で使ってほしいのです。
費用対効果に敏感な会社では、カタログを全社のデザイン監修の指針と位置付けているところも出てきました。たとえば、チラシやリーフレットなどさまざまな発行物のデザインを決めるときに、カタログのデザインルールやテイストに揃えるということです。
ログ子:なるほど、カタログがブランディングの核となるわけですね。
博士:そのとおり。カタログは1年中、オフィスのデスクに置いていただくものです。しかも多数の競合他社のカタログといっしょに並べて置かれることもある。その中で選ばれなければなりません。洗練されたデザインのカタログであれば手に取られる機会も増えるし、企業イメージも向上するはずです。
そう考えると、「毎年、前と同じものを出せばいい」じゃなくて、今年はどういうふうに製品を紹介するか、企業のメッセージをどう伝えていくか、戦略的に考えなければならなんです!
「ネットで注文できるのに、今さら紙?」という声が聞かれつつも、カタログの発行数は減ってはいないんです。きっとみんな、心のどこかで、カタログの有用性に気づいているんでしょうね。
ログ子:なるほど、深いんですね。それにしても……、博士はどうしてそんなにカタログに詳しいんですか? は、もしかして!!