レコメンド&レポート

新潟オフィスにてROLE/ 羽田純さんの講義を開催しました

April 24, 2019

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das.新潟オフィス デザイナーの井上です。

最近はセミナー関連の記事が続きますが、先日4月12日(金)に新潟オフィスにて富山県高岡市を中心に活動しているデザインスタジオ「ROLE/」の羽田純さんをお招きして社内向けの講義を開催しました。

羽田さんは出身である大阪から大学卒業後に富山県高岡市へとIターンし、ギャラリーのキュレーターとして活動した後、独立を機にデザインの業界にシフトしていったという少し変わった経歴をお持ちです。
今回の講義では実際の事例を交えて、羽田さんがどのような考えで仕事に取り組んでいるかを中心に教えて頂きました。


ROLE/の羽田 純さん


YouTube Liveを使用して東京オフィスへの生配信も行いました

 

デザインを生業としている会社に向けた講演会はほぼ初めての経験ということで、一体どんなデザインに対するこだわりが聞けるのかと一同楽しみにしていたと思いますが、講義が始まってすぐに羽田さんから出てきた言葉は、驚くことに“自分は「デザイン」を重要視していない”という衝撃の一言でした。

 

羽田さんが考えるデザインの「目的と手段」

羽田さんは高岡市にある「芸文ギャラリー」の企画などを8年間担当した経験の間、自然と「街の問題点」を見つけていかに見せ直すか?ということを考えて仕事をしてきたそうです。
デザインがなくても成立するのなら問題ないし、魅力が伝わるのであれば表現は何でも構わない。

独立した今もその考えは根底に流れていて、「チラシが欲しい」「ロゴをつくりたい」といったような手段が目的化しているような依頼に関しては常に疑問を持って「本当にそれは必要なのか?」ということを考えているそうです。

 

実例として、高岡市にある文苑堂という書店チェーンの企画「百物語 夏の怪」の事例を見せて頂きました。こちらも、そもそもなぜ本屋が夏にフェアをやるのか?(理由は考えてみてください)というところから始まり、書店員それぞれの個性を活かせる手段としてのアイデアを考えて形になったフェアだそうです。

完成した作品を見るだけでは伝わりずらい意図も、羽田さんのテンポのよい話しぶりも相まって、その背景を知ってから見るのとでは全く印象が異なりました。

http://haneda-jun.net/works/graphic/natsunokai.html

 

大きな反響を呼んだ「中尾清月堂」の広告

ご紹介いただいた事例の中でも特に印象的だったのが、富山県高岡市に本店を構える老舗和菓子店「中尾清月堂」の広告です。

広告に大きく配置された文章ですが、お気づきでしょうか。
文章中の単語の文字を入れ替えても、その文章を問題なく読むことができる「タイポグリセミア現象」を利用したキャンペーンです。

実際のプレスリリースはこちら

先ほどの「目的と手段」のお話しで言うと、もちろん初めから「タイポグリセミア現象」を使って広告を打とう!とはなりません。
この広告、実際は看板商品であるどら焼きの「原材料の変更」や「製造方法の変更」に伴い、リニューアルの広告を打ちたいとご相談だったそうですが、それはあくまで「目的」。

しかし、どれもお客様からは分かりにくいリニューアルだったので、それを逆手にとって「分かりにくい」広告をつくろうという「手段」として文字をばらばらにするアイデアに行き着いたそうです。

この広告のキャンペーン期間、県内のみで販売したにもかかわらず、10日間でどら焼きを5万9200個売り上げる大ヒットになりました。これをきっかけに、中尾清月堂とは継続的なお仕事になり、現在は販売戦略や商品企画から一緒に考えられる関係性になっているそうです。


広告と連動したどら焼きのパッケージ


講義の途中で、羽田さんが手がけられた中尾清月堂の商品「Hot Dora Butter」も試食させていただきました。

 

キーワードは「社会性」

羽田さんの講義で特に印象的だったのは「社会性」という言葉です。
これは羽田さんが学生時代から特に意識してきたことで、デザインの業界でも「手法」や「表現」にこだわるあまり、いつの間にか抜け落ちてしまうことが多い気がします。

羽田さんの会社名「ROLE/」は「肩書き・役割」の意味で、自分の役割はその仕事によって変化するので、自由でいいという意図でつけられた社名だということを教えてくれました。
私自身も「デザイナー」という肩書きによって自分で役割を狭めてしまっていることも少なからずあり、自分のつくるものが世の中に与える影響や伝わり方、すなわち「社会性」を第一に考えて、それに対する「最適な手段」を突き詰めていった時、自分自身の役割は自由にならざる得ないと感じました。


講義の後はオフィスで懇親会を行いました

講義後に質問の時間が設けられましたがそれだけでは足りず、結果的にはその後の懇親会でも夜まで話は尽きませんでした。。。

皆それぞれ、自分の中の「デザイン」という言葉の認識を考え直すような時間となりました。

 

プロフィール

羽田 純(はねだ・じゅん)

【経 歴】
1984年大阪出身。ギャラリーのキュレーションを8年間担当後、スタジオ「ROLE/」設立。現在は富山県を拠点に、デザイン・プロジェクトのほか、ジャンルを横断しながらさまざまな『活動』の魅力をデザイン。
JAGDA、TOYAMA ADC、高岡伝統産業青年会会員。

【受 賞】
TOYAMA ADCグランプリ・準グランプリ・富山ADC賞・会員審査賞・審査員特別賞/とやまクリエーター大賞/富山県デザイン展 大賞・グラフィック部門賞・U30賞/富山コピーライターズクラブ 準クラブ賞/北陸コピーライターズクラブ特別賞/北日本新聞広告賞 特別賞/ゴールデン ピン デザインアワード ベストオブデザイン賞(台湾)/メキシコ国際ポスタービエンナーレ、ブルノ国際グラフィックデザインビエンナーレ、ラハティ国際ポスタービエンナーレ、世界ポスタートリエンナーレTOYAMA 入選/東京TDC入線/JAGDA新人賞ノミネート 他多数

【掲 載 / メディア】
・デザインノート NO52
・DISCOVER JAPAN
・ デザイン トレンド アーカイブ VOL.1(PIE BOOKS)
・地域を熱くする! 注目のデザイナーたち(PIE BOOKS)
・カラーリング・コレクションブック(PIE BOOKS) その他多数

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