みなさん、とんかちの釘を打つ面って片側が平らで片側が少し丸みをおびてるってご存じでした?そして、平らな面と丸みをおびている面では使うタイミングが違うってご存じでした?
とんかちのかくされた機能
釘を打つ時、平らな面のほうが釘を打ちやすい。
だけど最後まで平らな面で打つと木材を傷つけてしまう。
そんな時、丸みをおびてる面を使えば木材に傷をつけないでしっかり釘が打てる。
そのためにとんかちは、片側は平らで片側は丸みをおびたようにつくられている。
「モノのかたち」には機能や社会の影響がかくされている。
このお話は、先日参加した情報デザインフォーラム「ワークショップの原点とファシリテーション」「根っこに戻ってから考えるワークショップ」多木陽介さん(演出家、アーティスト)のセミナーで聞きました。
とんかちにこんな深い機能が隠されていたなんて驚きでした。
機能から考えるプロジェッティスタ
昔、デザイナーという言葉のまだなかったイタリアでは、プロジェッティスタという職種があったそうです。
プロジェッティスタとは
- たいてい建築家
- スプーンから都市まで作る(何でも作る)
- 社会、政治、経済、文化など 各領域に対して批評判断能力を持ち、多様な専門家たちと協力して様々な要素を考慮しながら、人間の生活環境の改善を図る作業のすべての段階を統括指揮する知的かつ実践的仕事
- ある一つの分野の専門家ではない
このプロジェッティスタがなにかを作るとき、今あるものを疑うところから始めるそうです。なぜこのかたちなのか?これでいいのか?
プロジェッティスタのブルーノ・ムナーリさんが、サングラスや食卓の照明を作るとき
今あるかたちを疑い、機能を考察し次のようなデザインにしました。
サングラスはまぶしさを軽減するためのもの
→光の取り込み量を少なくすればいい。
- 細いすきまからしか光を入れないサングラス
- 小さな穴からしか光を入れないサングラス
食卓の照明を作るとき
必要な光を検討する
- テーブルの上の料理を美味しそうにみせる(→直接光がほしい)
- 椅子に座る人には間接光(→ガラスの透過光などがほしい)
- 部屋全体を明るくする(→反射光などがほしい)
3つの機能(光)をもった照明をデザインした。
原点に戻って考察したからこそ、こんなにかわった形の機能的なデザインがでてくるのでしょう。
機能を考察するワークショップのお話へ
ここからセミナーは、実際におこなったワークショップでどうやって根っこ(原点)に戻って機能を考察していったかへと続きました。ワークショップは成功し、参加者たちは今まで思いつくこともなかった視点から全体を見ることができるようになっていました。
で、とんかち。
家に帰ってとんかちを確かめてみました。
微妙な違いでしたが、2つの面の形状には違いがありました。(片側は面取りしてるのかな?という程度)
周りの人にもとんかちのかたちの違いに気づいていたか聞いてみました。気づいていた人は7割ぐらいでした。みなさん知ってました?
今回参加したセミナー
■ 第13回情報デザインフォーラム「ワークショップの原点とファシリテーション」
http://informationdesignforum.blogspot.jp/
編集デザイン部 加藤
KATO.M
Webディレクター
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