レコメンド&レポート

デザイナーのためのプロトタイピングのすすめ

December 6, 2019

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新潟オフィスの井上です。

デザインにおける「プロトタイピング」と聞いてどんな作業が思い浮かぶでしょうか。

グラフィックやプロダクトデザインの分野であればラフスケッチであったり、建築であれば模型の制作もプロトタイピングに当たるでしょうか。

今回は、最近読んだデザイン系書籍の中でも特に参考になったプロトタイピングに関する書籍をご紹介します。
「デジタルプロダクト/ハードウェア/IoTプロダクト/UI・UX設計に欠かせない必須プロセスの基礎知識!」
という冠がついているだけあって、ウェブサイト・アプリケーションのUI設計などに関わるデザイナーにとって役立つ書籍でした。


デザイナーのためのプロトタイピング入門

本書は発売前には「UI/UXデザインのためのプロトタイピング入門」という仮タイトルがついていたのですが、
発刊時の書籍タイトルは「デザイナーのためのプロトタイピング入門」に変更になっていました。

それだけ今デザイナーにとって建築やグラフィックからアプリ、WEBサイト、コンピューターソフトウェアをはじめとしたデジタルプロダクトまで、業界問わずプロトタイピングが必要になっているという事だと思います。

WEBやアプリケーションなどのデジタルプロダクトにおいてもSketch、Adobe XD、Figmaなどたくさんのプロトタイピングツール出ていますが、本書には細かいツールの使い方などは載っていません。
プロトタイピングの基本的な概念〜実践までを丁寧に紹介しています。

書籍の内容を網羅することはできませんが、本書の中で特に重要だと思う箇所をいくつか紹介したいと思います。

プロトタイピングの目的

プロトタイピングは、今まさに解決しようとしている問題の理解や、もともと想定していたものとは異なる“解決すべき別の問題”を浮かび上がらせることにも効果的です。
本書においてプロトタイピングは以下の4つの目的に分類されると説明されています。

理解
上記の「解決すべき別の問題」とあるように、ユーザー・解決すべき問題・追求するソリューションがユーザーにとって正しいかを理解する

コミュニケーション
デザインの方向性をステークホルダーやチームメンバー・顧客に伝え、フィードバックを得る。
その上で目指すべきデザインの詳細と(開発が必要なプロダクトの場合)インタラクションや仕様を開発担当者やエンジニア、製造業者に指示する

テスト
ユーザーからのフィードバックを元にアイデアを改善し、仮説が正しいかを検証する

重要性の主張
特定の方向や指示について、それがユーザーリサーチの結果をふまえた正しい判断であることをステークホルダーに納得させる

プロトタイピングの忠実度とプロセス

そもそも「プロトタイプ」には“忠実度”という指標があることが本書では何度も繰り返し出てきます。
紙でのペーパープロトタイプからはじめて、段階を踏んで低忠実度(LO-FI)、高忠実度(HI-FI)というステップを踏んで
デザインプロセスのそれぞれの段階に適したものが使われます。


各段階においてユーザーテストを繰り返し検証し、低忠実度であるほど、安価で取り入れやすい手法ということを示しています

出展:https://blogs.adobe.com/japan/web-fundamentals-wireframing-prototyping/


プロトタイピングのプロセスは目標・オーディエンス(対象ユーザー)・仮説によって異なる

プロトタイプのユーザーテスト

フィジカルプロダクト、デジタルプロダクトにおいても必ずユーザーが存在します。

プロジェクト毎に理想的なユーザーにできるだけ近い、自分以外の人間にフィードバックをもらうことが定石となっています。
ユーザーテストでは対面型・リモート型に関わらず、相手の表情や言葉の端々から感情を探り、フォローアップの質問において理由を探ることができる。
どちらも直感的な使用とエクスペリエンスにおける定性的・定量的なユーザーからのデータを集めることができます。

リサーチ計画の策定に基本的な項目が紹介されていました。
・目標と仮説
・ユーザープロフィール
・事前調査のための質問
・タスク

仮にダメな質問といい質問の例が掲載されています。

すべての行程を1つにする

本書の後半ではフィジカルとデジタル両方のプロトタイピングを駆使して1つのエクスペリエンスを生み出した「SXSWテイスティングエクスペリエンス」の事例が掲載されています。

2016年にオースティンで行われたSXSW(サウスバイサウスウエスト)カンファレンスのために米IBM Mobile inovation lab(MIL)が企業のデザイン/開発チームを横断して、SXSW参加者に向けたラボのデザイン能力と機械学習スキルを披露するというものです。
ここでは上記で紹介したリサーチ、ユーザーフロー、忠実度に伴ったフィジカル・デジタルプロトタイピングを通して、仮説を効果的にテストし、効率的なフィードバックを活かしたオースティンという土地ならではのクラフトビールのテイスティングイベントとその周辺のリサーチ・開発・什器やディスプレイデザインなどが決定していく過程を紹介しています。

まとめに

近年、特にデザイン業界においてはプロセスを含めて見せていく機会が多いように感じます。
提案書を含めたアウトプットを見せる展示会であったり、
先月末から始まった、Takramの田川欣哉氏がディレクターを務める㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画であったり。

デザインは最終的なアウトプットのクオリティこそが大事、と思われがちですが、
デザインのプロトタイピングは単純な手法でも、透明性という事でもなく、思考と実践の集積にこそ「価値」「クオリティ」が伴うと信じて。

最後に、本書の末尾の章に掲載されていた素敵な言葉を紹介します。
“TODAY IS A PROTOTYPE.”
(毎日が明日をもっとよくすることができるプロトタイプ)

デザインプロセスがうまく回らない、もっと効率的にクライアントとコミュニケーションを取りたい、といった方はぜひ毎日の業務にプロトタイピングのプロセスを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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