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デザイン会社の産学連携活動

デザイン会社の産学連携活動

6月から8月にかけて新潟大学様の産学連携講義に参画させていただきましたので、その模様をお伝えしたいと思います。内容としては若手社員がリーダとなって学生さんとチームを組み、所属企業が持つ課題の解決策を考えるプロジェクトでした。

講義の概要

具体目標:
各企業が設定した課題の解決方法を考え、
A0ポスターにまとめてプレゼンテーションを行う
弊社が設定した課題:
お客様が納得する新しい提案方法と、
その裏付けとなるデータの調査方法を考える
前回のエントリーの最後の方で少しだけ書きましたが、弊社では依頼を受けて制作する受注型ビジネスからお客様の課題を考え、最適な解決策を一緒に考えていく価値提案型ビジネスへの移行が進んでいます。そのため提案を行う際、どのように伝えれば相手に響くのか、またどのような根拠を用いれば納得してもらえるのかそうした観点から新しい方法を学生さんたちと一緒に考えることを課題と設定しました。

 
講義の流れ

午前:リーダー育成についての講義、他企業社員とのグループワーク
この講義はリーダーシップ養成研修の側面もあり、午前中はリーダー育成に関する講義を受けてその内容を参画している他企業の社員のみなさんと共有、ディスカッションをするのが基本となっていました。設計、人事、営業など普段交流のない様々な視点を持った方々との話し合いは毎回良い刺激をもらえました。
 
午後:学生とのディスカッション、チームビルディング
午後は場所を移動し、事前に決められていた学生さん4名とチームを組んで課題解決のディスカッションを行いました。約3時間ほどなのですが、ほぼこの授業時間が作業時間となるため、スケジュールのタイトさもあり非常に進行するのが難しい時間でした。特にデザインという業界は思いのほか学生さんたちにとっては馴染みのない世界だったようで…… 説明と理解、調査、実制作、プレゼンテーション練習、という一連のタスクはかなり重く感じました。良い経験です。
 
授業後:学生の振り返りに対するフィードバック
授業後は学生さんたちから送られてくる授業の振り返りに対して、チームリーダーという視点から感想や改善点の指摘を行います。SNSが中心のため、日常的にメール等を使用しない学生さんたちとの連絡の取り合いや、提出の管理などマネジメントのような部分が多く、普段の業務ではあまり経験しえないという意味で貴重な経験となりました。

 
学生とチーム活動をするということ

社会に出ると学生さんと接する機会がほとんどないため、彼らの視点や意見というものはとても貴重でした。私のチームでは理系の男子学生K君とF君、文系で友達同士の女子学生CさんとTさんがメンバーとなりました。彼らとの交流を通じていくつか感じたことを書きます。

1.シャイ
よく考えれば社会人という得体の知れない存在と接し、デザイン業界という得体の知れない世界の話を考えるというのは、学生さんからすれば大変難しいことだと思えます。そのせいなのか現代っ子だからなのか、彼らはややシャイでした。弊社の紹介やどういうものがデザインなのかという説明をしても苦笑しながら小首を傾げる的なアクションが多く、打てど響かずという展開が多かったです。グループワークにおいてメンバーとの意思疎通はもっとも需要なファクターであると感じていたため、やや焦りました。
今回私は、適度に雑談を挟んだり、趣味に関連づけて「これに使われてるこれもデザインだよ」と説明したりとっつきやすくなるような配慮を中心にコミュニケーションを計りました。そうした会話を通じて徐々に気軽に話ができるような関係性が構築できたと感じています。

2.認識の乖離
「デザイン」という言葉が予想以上に浸透していませんでした。そもそも意味が広義的なせいもあるとは思いますが「こういうロゴマークもデザインなんですか?」とか「チラシとかもデザインなんですか?」という感じでした。近年、企業人へは「デザイン思考」という言葉などを通じてデザインというものが浸透し始めていると思っていましたが、学生さんからすれば”ロゴはロゴ、チラシはチラシ”であって「デザインがされている」という認識にはならないのだなと痛感しました。
クライアントとのコミュニケーションにおいてこの認識の乖離というのは、我々の価値を理解していただく上でも注意をすべき点になると、こうして実際目の当たりにすることで実感ができました。

3.絶滅危惧種と化したメール
LINEやTwitterが日常的となった昨今、若者はメールという機能をほとんど使わないようです。そのため序盤、メールでやり取りをしていたときは記名がなかったり、件名がなかったり、そもそも見てなかったりなかなか連絡を取り合うのに苦労をしました。そこで弊社内での連絡に使用しているSlackを導入し、細かい連絡を取り合うことにしました。幸いにもメールよりも確認がしやすく、気軽に投稿ができるということで以降の連絡はスムーズにいきました。ビジネスマナーとしてメールの文面や表現などをよく勉強したものですが、こうした時代の流れに沿ったコミュニケーションは今後積極的に取り入れていくことが大事だと思いました。
よくよく考えるといまだにFAXを業務で使用している日本は結構、というかかなり珍しいのでは?弊社では一部クライアントとのやりとりにもSlackの専用チャンネル用いて行なっていますが、メールよりも確認がしやすく効率はかなり上がっています。
 

最終発表


最終発表は10分間のプレゼンテーションと質疑応答です。課題に関して、最終的に学生さんたちが興味のある業界とその業種をピックアップするいう方法で解決方法の考察を行ってくれたので、チーム内で2人に班を分けて分担してプレゼンテーションを行いました。グループワークを通して進め方のヒントや提案をリーダーである私から提示することで、そうした方法を自分たちで考案してくれるようになりました。非常にいい成果だったと思います。
他の企業さんが「インターンシップの内容を考える」「提出物を提出率を上げる」などといった課題の中、弊社はゴリゴリの実務的内容の課題を設定してしまったので難易度はかなり高かったと思います。授業外でもSlackを通じて情報交換や進捗確認を頻繁に行うことで、その辺りをカバーしました。濃密なグループワークを通じて形にできてよかったと思います。

 
感想と得られたこと

今回個人的によかった点は以下になります。

  1. 学生さんとの交流を通して、デザインがどういった認識をされているのかを知れたこと
  2. 他企業の社員の方との交流を通し、顧客に対する視点の違いを知れたこと
  3. チームとして課題を解決する際のフローを体験できたこと
  4. 学食が安かったこと

特に3に関しては、普段デザイナーとして制作や進行管理が中心となっている自分としては得がたい体験でしたのでとても身になったと感じています。また、学生さんたちと交流することで若い世代の視点から意見をもらえる他、彼らの考えから刺激をもらうこともできました。
今後も業務に従事していく中、今回得られた知見をブラッシュアップしながらお客様のために最適な提案ができるよう精進していきたいと思います。
指導してくださった先生方、一緒にチームとして活動してくれたK君、F君、Cさん、Tさんにはこの場を借りて御礼申し上げます。

執筆者

das公式

コミュニケーションの力を基盤に 課題解決に繋がるクリエイティブを クライアントと共に共創します

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